岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

「できない理由を考えるより、
できる方法を考える。」
対策室に掲げてある言葉です。
どうやったらできるのか、
常に考えるよう努めています。


総合病院中津川市民病院 感染予防対策室室長・看護師長
大山 康世(おおやま やすよ)さん(中津川市)

【2024年8月28日更新】

感染症の予防や蔓延時の対処など、感染対策に関する専門知識や技術をもつ感染管理認定看護師。その資格を有する大山康世さんは、総合病院中津川市民病院感染予防対策室の室長として、患者や医療従事者、職員を感染症から守ろうと取り組んできました。また、地域の保健福祉施設や中小規模の病院などの感染対策向上にも貢献しています。

祖母も母も看護師
 
看護師になりたいと思ったのは、幼稚園のときでした。祖母も母も看護師という家庭でしたから、それが大きく影響したかもしれません。成長してからも人のお世話がしたい、何か役立てることがしたいという思いは強くて、看護の専門学校へ進みました。
 4年間学んで看護師免許を取得して、名古屋の病院に2年間勤めたあと、出身地の中津川に戻り、現在の総合病院中津川市民病院に移りました。外科病棟に7年近く勤務後、産休に入りました。復帰後は産婦人科、眼科、小児科、整形外科などに勤務してきました。
 2005年、院内の感染対策チームの一員に任命されたのが、感染管理に携わるきっかけです。その頃は、感染対策チームといってもピンとくることがない時代でした。その後、チームを率いていた上司の看護師が退職することに。
 私自身、まだまだ知らないことばかりで、今後も活動を続けていくためには、感染管理の知識をもっと磨きたいと考えました。そこで感染管理認定看護師の資格を取ろうと、東京の日本赤十字看護大学認定看護師教育課程フロンティアセンターで、2009年6月から半年間学びました。資格取得後は、一般の看護師の仕事をしながら感染管理も兼務する形でしたが、2011年から感染対策室の専従となり、現在に至ります。

各部署の理解と協力で
 
患者さんや面会に来られるご家族、さらには職員を含め、院内のすべての人たちを感染から守るのが役割です。院内の状況把握やデータ管理、感染対策マニュアルを作成するほか、感染症を持ち込ませない、広げないために、日頃から予防に努め、もし感染症が発生した場合の方法を職員に周知、指導していくことが基本的な仕事となります。
 コロナ禍では、国や県から指示が絶え間なく届き、その情報を院内のコロナ対策委員会に提供して、手指衛生の指導や面会制限などの対策を講じました。感染対策室に委ねられる判断事案も多く、発熱者外来も当初は感染対策室が受け持っていました。
 感染対策は組織横断的な活動で、絶対にひとりではできません。患者さんに一番近い看護師をはじめ、医師や技師、事務の方々の支援があってこそ、院内の感染対策ができるのです。また、何が欠けると、そこが原因で感染したり広がったりするので、すべての職員に対策を徹底させる必要があります。そのためにはコミュニケーションが不可欠で、人とのつながりを大切にしてきました。当院では各部署の協力もあり、私も役目を担えていると感謝しています。

地域連携にも注力
 
地域には感染管理、感染対策の専門的な知識をもつ看護師は少なく、高齢者施設、福祉施設、クリニックなどから、感染対策に関する相談が多く寄せられます。当院は中核病院なので、地域全体の感染対策の推進にも積極的に取り組んでいます。
 新型コロナウイルス感染症に限らず、ノロウイルスやインフルエンザなどの感染症に対しては、きちんとした対策が必要です。相談に対応したり、最新の情報を発信したり、研修会を開いたりと、いろいろな求めに応じることで、地域に役立っていきたいと思います。地域連携の重要性が高まる中、こうした活動がやりがいにもなっています。
 認定看護師は5年に1回の更新があります。その際には新たな知識を学ぶだけでなく、自分の経験や実施した成果などを、学会などで発表しています。感染管理に関する専門学会などにも、毎年参加しています。新しい知識や皆さんの経験を学び、当院の感染対策に生かしていきたいです。

料理や剣道で気分転換
 
夫と息子の3人家族ですが、息子は社会人になって家を出ていますので、現在は夫とふたり暮らしです。元々、感染対策室は私ひとりで始まりました。コロナ禍で増員されて4人体制になりましたが、この3年余りは本当に忙しく、自宅に帰るのも遅い日々が続きました。夫の理解と支えがあって、私はこの仕事ができていると感じています。料理が好きなので、時間があるときは夫と一緒に食べるのが楽しみです。
 剣道を再開しました。息子が子どもの頃に剣道をやりたいと言いだし、地元の少年団に連れて行ったのをきっかけに、私も15年ぶりくらいに始めました。高校生のころからやっていましたが、怪我をした時にやめていました。道場に出かければ剣道だけに集中することができて、すごく下手ですが、楽しみになっています。
 看護師は患者さんに寄り添う看護ができるのが、一番幸せだと思います。そう思って看護師になりましたが、感染管理の仕事に就き、直接患者さんに関わることはできませんが、感染管理を通じて看護の質向上につながるとうれしいです。そして、いつかまた患者さんの看護をしたいと思っています。