岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

地域を元気に、というのが
社団法人の趣旨ですけど、
まずは個人が幸せでなければ
始まりません。そのために
今すべきことを考えています。


一般社団法人きのねこ代表理事
鈴木 若葉(すずき わかは)さん(中津川市)

【2024年8月28日更新】

美容室を経営する傍ら、多様なイベントを企画・運営してきた鈴木若葉さん。2021年にはウェルビーイング(well-being)なまちづくりを目指して「一般社団法人きのねこ」を設立し、活動を本格化しました。地域に住む人たちがつながったり、さまざまな体験をしたりする機会や場を提供しながら、地域と関わる楽しさを伝えています。

人がつながれる場を
 
美容師になって26年、起業して14年目を迎えました。美容室のお客様のなかに、絵を描いていたり、アクセサリーを手作りしていたり、お菓子やパンを作っていたりと、地域でいろいろな活動をされている方がいて、そういう人たちを応援したいな、と思ったのが、現在の活動を始めたきっかけです。
 リニューアルした美容室はフロアも駐車場も広かったので、空いたスペースを発表や販売の場として使ってみませんか、とお誘いして、イベントやマルシェなどを手がけ始めたのが6年ほど前です。以後、年1回ほどのペースでアートの個展、中津川未来創世塾、親子で学ぶお金の勉強会などを開催してきました。2021年には中津川市と連携して「MOTTO×JIMOTOもっと×なかつがわ」と題したイベントにも携わりました。
 活動を始めた当初、お店のスタッフやお客様だけでなく、いろいろな人と関わる楽しさを私が感じていたように、イベントを通して、人はもっと多くの人とのつながりを求めているのだ、と気づかされました。
 これからも、そんな人がつながれるイベントを企画して、まちづくりに生かしていくための活動に取り組みたいと、「一般社団法人きのねこ」を立ち上げました。イベントは過去の内容や参加者の声をヒントに、どうアップデートするかを考えて、次の企画に臨んでいます。子ども向け体験ワークショップやマルシェを開いた、2023年の「ふしぎのもり」に続く、「ふしぎのまち」と題したイベントを開催するのが目下の目標です。

活動の魅力は出会い
 
5年前、ウェルビーイングの研究をされている予防医学の先生のゼミに入りました。ウェルビーイングは、身体的・精神的・社会的にも良好な状態にあることを表します。心と体の健康、人とのつながり、幸福の実感が重要であると学びました。
 健康で長生きする人を増やしたい、というのが活動の最終ゴールです。個人が健康でなければ、集まって何かをやっても良くなるとは思えません。一人ひとりが心と体の健康について見直すよう働きかけて、将来の幸福度をあげていくことが大切だと考えます。それを踏まえて、まちづくりを考えていくときにどうすれば良いか、今も問いながらイベントを企画、開催しています。
 いろんな人に会えるのが活動の魅力ですが、以前は未来に向かって自分の事業をどうしていくかという熱量のある男性が多かったのですが、副業的に事業を始めた主婦の方などとの出会いも最近は増えてきました。
 男性に比べて女性のほうが、共感力が高く、自分たちが楽しいか、それをやっていて幸せなのか、という部分を大事にしているように感じます。主婦だけど、こういうことがやりたいという強い気持ちで、楽しく、自分らしく、人や社会とつながって、夢を実現していく参加者の皆さんから、いつも刺激を受けています。

仕事も趣味のひとつ
 
コンサート、ミュージカル、舞台、アートなど、人の表現を見るのが好きです。人の表現とメディアアートを組み合わせた、インスタレーションも活動のテーマとしており、コンサートなどからも仕事のヒントをいただいています。国内外への旅行もよく出かけますが、仕事を兼ねてという面もあって、どの趣味も仕事とつながっています。
 現在は、私の両親と夫、長男、次男の6人で暮らしています。実家が宿をやっていて、仕事とプライベートの区別があまりなく、全員働くのが当たり前という環境のなかで育ったので、私も、一人で頑張らない、を実践しています。
 夫は起業する前から仕事に理解があり、子育てもしやすいよう職を変えたくらいです。祖父や祖母、妹たちも子育てをサポートしてくれました。困ったときに頼れる人がいることで世界は広がり、幸せも実感できるようになると思います。

人は必ず老いて死ぬ

 「盛者必衰」という言葉は、『平家物語』では、栄華を極めた者であっても必ずいつかは滅びる、というこの世の無常を表していますが、私は一人の人間が老いていく様を表していると捉えています。人は必ず年老いて死ぬので、生きている時間のなかで何ができるのかがすごく大事だと、美容師になったときからずっと思ってきました。
 若いときにできなかったことが、年をとってからできるのが私の目標です。年をとるとできないことが増えるとみんな思っていますが、若さは愚かさでもあります。年をとっている人のほうがいろんな知恵があるのに、それをリスペクトしないのはすごくもったいないと思います。年をとればとるほど価値があがっていく人になりたい。そんな思いからも、私は「盛者必衰」を座右の銘としています。