岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

2度の育休を挟みながらキャリアアップを続け
現在は人事担当の管理職として若手に寄り添い
良き手本を示し彼らの成長を後押ししている。


中部事務機株式会社 グループマネージャ
日比野 聖子(ひびの せいこ)さん(岐阜市)

【2024年9月 2日更新】

中小企業、官公庁に対し、時代とともに進化する「働く環境」の改善とデジタル化の基盤となる、ネットワーク環境の構築、安心して働くことができるセキュリティ対策のサポートを提供する中部事務機株式会社。その経営管理部門で人事担当マネージャーとして働く日比野さんは、育児休業など会社の制度を活用して子育てと仕事を両立させ、働く女性のロールモデルとして活躍を続けています。

新しい時代の到来

31年前、高校卒業後の進路を決めるとき、母親から「これからの時代はパソコンの知識が就職に有利であり、さらに専門的なスキルを磨けば必ず価値あるものになる」と勧められ、パソコンの専門学校へ進学しました。卒業する頃はオフィスにパソコンが当たり前の時代が到来し、私は事務機器を取り扱う会社にパソコンのインストラクターとして就職し、会社が納入したパソコンの操作や業務システムの使い方を訪問指導する仕事をしていました。その後、世の中はインターネットの時代に突入し、Webデザインに興味を持ち転職。Webデザイナーとしてホームページの制作を担当しました。
 ビジネスの世界が大きく変化する時代の中で、パソコンに関わりトレンドに触れる事も出来て、2つの会社ではとても良い経験をさせて頂きましたが、最初の会社も転職後の会社も名古屋まで通勤していましたので、これからも続く人生の中で膨大な時間を通勤に費やす事を考えると、その時間がとても無駄だと感じていました。そこで長く安定して勤められる地元企業を探していたところ、自宅から通勤時間30分圏内の中部事務機株式会社の求人を見つけ、応募の結果パソコンインストラクターとして採用を頂くことができました。
 数年後、会社から営業職への異動を打診されてキャリアチェンジしましたが、母親が営業をしている影響もあって抵抗感はありませんでした。始めは営業社員のアシスタントというポジションで、岐阜市のホームページを担当しました。私のスキルや経験を考慮しての配置転換だったと思います。やがてアシスタントから営業になり、最初の仕事は岐阜市情報政策課のホームページ用サーバーのリプレイスでした。

産休から第一線に復帰

 子どもは年子で2人いて、いずれも産前産後休暇も育児休業も取得しました。その時の男性上司はとても理解のある方で、産休に入る時も戻る時も「安心して休んでください」「復帰を待っていますよ」と優しく声を掛けて下さいました。
 制度の利用は前から取得するのが当たり前という社風があり、私自身も出産を理由に退職という考えは全く浮かびませんでしたし、周囲がフォローできる熟成した環境が整っていましたので、安心して取得する事が出来ました。
 2人目の産休から復帰した際、子育てに配慮した時短勤務制度もありましたが、私は通常の8時間勤務を選択しました。そしてすぐにタブレット端末を学校に先行納入するという県内では初、東海地方で見ても大規模な事業を担当する事になりました。営業部の方々のフォローもありましたが帰宅が遅くなる日もあり、そんな時は夫が家事も育児もフォローしてくれましたし、母親も近くに住んでいるので手伝いに来てくれました。仕事でも私生活でも周りの人たちに助けられながらやってきました。

会社と家庭は人生の両輪

 入社してから15年が経ち、営業としての現場からは退き、経験を生かして若手営業マンをサポートする機会を得ました。指導役として4年間、10名の若手営業マンを指導し、今その社員は現場で活躍しています。そして昨年、この会社に入社してから4回目のキャリアチェンジ、営業だけでなく会社全体の従業員に関わる仕事をしないかとの提案を受けて、経営管理部門の人財開発グループへ異動しました。人事に関する部署なので、採用や労務、教育も行います。全くそのような知識がない中で、私が異動した最大の理由は、これまで女性社員として経験してきたことを次の世代に伝えることだと感じています。最近は長く働ける会社かどうかを重視する女性が増えていますが、それに対しては自身の経験を生身の声で伝える事で安心して頂けていると思っています。入社後の女性社員には自分の経験をもとに出産や子育てなどのアドバイスを、男性社員には女性としてパートナーの立場を想像して相談に乗ったりもしています。また、ワーク・ライフ・バランスを重視する社員も多くなってきましたが、自分のライフスタイルを主張するだけでなく、仕事でも成果を上げて自分と会社との間にウィンウィンの関係を築いてこそ成立するものと皆に伝えています。

理想を現実のものへ

 仕事と私生活をどうやって両立してきたのかと聞かれる事がありますが、会社が標準と考えて用意した支援や制度があり、そしてそれを理解している上司がいるからこそ、私は辞めずに続けてこられたのだと思っています。この会社は結婚・出産・育児といった変化に合わせて職種も変えられますし、様々な制度の利用や休暇の取得も出来るので、ワーク・ライフ・バランスを高い次元で実現する事が可能です。私をロールモデルと捉えている方がいるかも知れませんが、本当は誰もがロールモデルになれる可能性を持っているのです。