岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

幼稚園教諭からIT会社へ。
今では行政も関わるプロジェクトの
重要なメンバーとして、
高度なシステムづくりに奮闘中。


株式会社ミライコミュニケーションネットワーク 内部監査部 マネージャー
上野 麻記子(うえの まきこ)さん(大垣市)

【2024年9月 3日更新】

インターネットサービスプロバイダ、レンタルサーバ、データセンターの運用・管理、電子決済等代行など、ITに関する諸業務を幅広く手がけているのが、ミライコミュニケーションネットワークです。同社の内部監査部に在籍する上野麻記子さんは、ユーザーサポート業務を経て、金融庁と関わる業務や岐阜県の大型プロジェクトのメンバーとして活躍。今後は後進の育成も見据えています。

もともとは幼稚園教諭

 勤務する株式会社ミライコミュニケーションネットワークは、ITインフラの専門会社。こう聞くと、情報系出身でそれに付随する科目を勉強してきたようにも思われますが、大学時代に在籍していたのは児童教育学科です。
 幼稚園教諭としての生活は約6年でした。退職を意識し始めた頃、ちょうど勤務先の幼稚園にパソコンスクールの生徒募集で営業の方が来ていて、「これからの時代はパソコンスキルも必要かもしれない」と思いました。
 ひとまずスクールに通ってみると、意外に楽しく、スムーズに基礎スキルを身につけることができました。また、講師とも仲良くなり、それがターニングポイントに。よく話す講師のなかに偶然ミライコミュニケーションネットワークの関係者のご家族がいらっしゃり、その方から社員募集の話を聞き、応募し入社に至りました。

家事の担当は夫

 入社後、最初に担当させていただいた仕事は、ユーザーサポートです。インターネットサービスプロバイダとして、「Mirai NET」を提供しています。そのユーザーさんからは日々何らかの問い合わせが入るので、ユーザーサポートの担当者が対応にあたります。わかりやすい事例としては「メールが送れない」「ネットがつながらない」といったもので、それらに対する各種設定方法のご案内などを電話で行っていました。また、請求に関する問い合わせにも対応していました。
 電話によるユーザーサポートは、お相手の顔を見て話ができません。発音や話のスピードに気をつけたり、話を遮らないようにしたりするなど、細かな気配りをして安心感を抱いてもらうことに努めました。
 ユーザーサポート業務は、入社から約10年間担当していて、その間私は出産を経験しました。2008年に結婚し、第1子を産んだのが翌年です。出産1カ月前くらいまで働いて、産後は1年間休みをもらい、時短勤務制度を利用して復職しました。やはり育児と仕事の両立は大変で、復職から半年が経った頃に夫婦で話し合い、主に家事は夫が担当して、私は仕事に集中することになりました。
 我が家の主な収入源は私の給与です。その私が第2子の出産で育休を取得した時は、収入が減るわけですが、夫は家事をすることに加えてパートタイマーとして働きにも出ていますので、幸い大きな不安もなく生活ができました。仕事が楽しいと感じていたため、第1子の時よりも早く復職しました。
 夫には夫の家事のやり方がありますから、基本的に私は口出しをしません。任せているのだから「お願いします」と「ありがとう」の気持ちは忘れないよう心がけています。

大きなプロジェクトに参加

 2012年に、ユーザーサポートから技術部のマネージャーに異動しました。その名の通り技術的なことを取り仕切る部署でしたが、私自身はエンジニアではないので、案件内容に応じた機器の選定や発注、金銭管理などの事務系業務を任されました。また、当社のサーバーを導入していただいているお客さまの企業で障害が発生した時の復旧作業の指示や各種報告、部署のメンバーの勤怠管理も担当していました。
 2018年、当社が中小企業庁の「中小企業・小規模事業者決済情報管理支援事業」に参画することになり、私はある食品製造会社の発注業務のデジタル化プロジェクトに加わりました。このプロジェクトでは、「Web-EDI」の導入が検討されました。Web-EDIとは企業間の電子商取引をインターネット上で行うためのシステムで、開発・導入にあたっては、金融庁からの許諾が必要。そのためには、内部監査を適切に実施し、当社の業務や財務の信頼性、法令遵守の徹底性などを金融庁に対して証明しなければなりません。そこで私が内部監査部員となり、監査と金融庁への報告や各種調整に取り組みました。
 岐阜県は2023年春に岐阜県DX推進コンソーシアムを設立しました。現在、コンソーシアムの会員企業としてデジタルインボイス活用岐阜モデル構築実証事業を行っています。この事業では、デジタルインボイスに対応したシステムの構築を目指しており、私は外部のベンダーと仕様の検討などを進めている最中です。ゆくゆくシステムは製品化を予定。インボイス制度が始まったこれからの世の中においては、きっと重宝されるはずなので、今はその日が来るのを楽しみにしながら開発に尽力しています。

次世代によい経験を

 昨年(2023年)50歳になりました。40代の時は、ただひたすら仕事に邁進するばかりでしたが、50歳を迎えた時に「あと10数年もすれば一般的には定年退職だ」と会社員生活のゴールについて意識するようになりました。今はまだプレーヤー的な立ち位置での仕事もさせてもらっていますが、会社の事業の継続について考えた時、そろそろ次の世代にも多くの経験を積んでもらわないといけないのかなと思っています。今私が取り掛かっているような大きなプロジェクトがこれから舞い込んできたら、ぜひ若手にチャレンジしてもらいたいです。
 自分の歩みを改めて振り返ってみますと、ここまで仕事に楽しく打ち込めたのは、家事を一手に引き受けてくれた夫の存在が大きいです。困難を前向きな姿勢で乗り越えようとする会社の仲間の存在も忘れることができません。関わってくれた皆さんに感謝するばかりです。これからも「日々是好日」をモットーに人生を楽しみたいと思います。