2020年に東濃信用金庫本町支店の支店長に就任以来、支店の統括管理と業績向上に努めてきた伊藤牧子さん。女性渉外の4期生、年金アドバイザーの1期生と、これまで新たな業務にも意欲的に取り組んできました。お客様から感謝していただけることが、この仕事の一番のやりがいだと語ります。同金庫では2人目となる女性支店長です。
目の前の仕事に専念
実は、金融の道へ進もうとはまったく思っていなくて、どちらかといえば商社やサービス業、製造業の事務などが候補でした。東濃信用金庫への就職は、高校の先生に強く勧められたことがきっかけです。
入庫後は、土岐市駅前支店(現・土岐中央支店)に配属されました。市の指定金融機関でしたので、市金庫関連の仕事を2年半程していましたが、4年目に入った頃、外回りになるよう指示され、スクーターに乗って地域のお客様を訪問していました。
その後、本店営業部に異動しました。ちょうど年金アドバイザーという業務が始まり、その1期生となりました。4年ほど年金アドバイザーとして務めていたところ、業績が好調だったこともあり、年金アドバイザーの教育、指導を任されました。
子どもができて育児休業を取得し、復帰後は桜ケ丘支店に配属されて、預金役席に就きました。たまたま女性の支店長が異動してみえて、融資の仕事に誘われました。以後、異動先でも融資業務に携わってきました。
東濃信用金庫がジェネラル(総合職)とスタッフ(一般職)の職種区分をした際には、帰宅時間は遅く仕事は大変でしたが、これまで身につけた経験をもっと磨きたいと、ジェネラルを選びました。
その時点では補佐役という役職で、その上の管理職に挑戦する資格がありました。私自身上を目指したいという希望はありませんでしたが、上司の強い推薦をいただき、翌年次長に昇進しました。そして2020年、本町支店の支店長を拝命しました。本心は、昇進にあまり興味がなかったのですが、ただ目の前の仕事をこなすことに努めてきた結果なのでは、と思います。
後に続く女性職員を
本町支店は私を含めて6人です。比較的大きな支店で働いてきたため、こんなに職員が少ない店舗は初めてで、最初は戸惑いもありました。営業の数字を伸ばすのもみんなで協力しなければなりません。少人数ながら一致団結して、目標達成を目指して頑張っていくのもいいな、と今は感じています。
支店長としては、人事管理が難しいです。若い職員と私たちベテラン職員では、時代が違って考え方も異なります。なるべく寄り添えるよう努力しています。たとえば、営業を長くやってきましたので、自分でする分にはそれほど苦になりませんが、人に指示する場合は気を遣います。できるだけ具体的な指示を出すよう、心がけています。
昔は営業先などで「なぜ女性が来るのか」といった言葉を投げかけられることもありました。それでもお客様と真摯に向き合い、信頼関係を築いていくことで、最後は感謝の言葉をかけていただくことがほとんどでした。
時代は変わりましたが、東濃信用金庫では女性の管理職は少なく、女性支店長もまだ2人だけです。外回りと役席の兼務もハードルが高く挫折する方も多いようですが、私たちの後に続く女性の管理職がもっと出てくることを期待しています。
多忙な中での子育て
夫、娘の3人家族です。融資役席をしていた頃は、帰りが遅い日が続きました。保育園の迎えの時間までに仕事が終わらないことも多く、そんなときは夫が助けてくれました。振り返ると、ほぼ夫が迎えに行っていました。夕食もお惣菜を買って帰ることが多かったです。夫の協力あってこその子育て、と思います。
子どもがピアノをずっと習っており、そのピアノ教室で習っている子どもの親たちによる吹奏楽の団体があります。私も中学時代に吹奏楽部でフルートをやっていたので参加していますが、久しぶりにフルートを吹いたときは、全然音が出なくてびっくりしました。ピアノの発表会などで、子どもとアンサンブルで吹くこともあります。家族でキャンプや旅行に行くのも楽しみにしています。
常に前向きな気持ちで
ウィリアム・ジェームズの名言「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ。」を信条にしています。辛いことや悲しいことがあっても、笑顔でいることを心がけることで、自然と明るく前向きな気持ちになる、という意味です。いつも笑顔でいられるよう、前向きでいられるよう、仕事をしていきたいと思っています。
「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。」というのも同じくウィリアム・ジェームズの言葉ですが、これも好きです。
内心まずいなと思っても、笑顔で落ち着いた感じでいると、周囲には全然動じていないように見えるようです。支店長になってから、そうしていると職場の雰囲気が明るくなりましたし、みんなも気持ちよく仕事に向き合えているように思います。