岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

地域の声を聞き、見守り、
橋渡し役として貢献
新たな世代にバトンを
渡す機会を模索中


輪之内町 民生委員児童委員 協議会 会長
小林 洋子(こばやし ようこ)さん(輪之内町)

【2024年9月 5日更新】

近年、地域住民同士の関係が希薄になりつつあります。相互扶助ができなくなるなか、1998年から26年以上にわたり安八郡輪之内町で民生委員児童委員として活動する小林洋子さん。校区サロン「カフェふくろう」をはじめとしたさまざまな取り組みで、地域に顔の見える関係をもたらしています。

民生委員児童委員として聴くことを大切に

1998年から現在まで長い間、輪之内町の民生委員児童委員としてこんなに長く活動できるとは思ってもみませんでした。気付けばもう四半世紀を過ぎていて、自分でも驚きます。私が暮らす本戸地区と中郷地区の2地域、約90世帯を担当しています。民生委員児童委員として地域の声を聞くことが第一と考えています。生活での困りごと、要望を聴く、見守り、時にはより専門性の高い行政(福祉課)の担当者につなげることもあります。住民と行政機関の間に入る、橋渡し役です。「一人で暮らしているけど足腰が悪くなったから不安」、「自然災害時の避難経路を確認したい」といった、いろいろな声を吸い上げます。
世帯構成や年齢層によって悩み、苦労が異なるため民生委員児童委員は地域によって活動内容はさまざま。輪之内町には私を含めて22人の民生委員児童委員がいますが、1人200世帯を担当する方もいます。私なりに地域に見合った活動を探しながら26年間活動を継続しています。

地域の役に立てるという想い

 民生委員児童委員を最初に「やってみないか」と声をかけてもらった時は地域活動、福祉という言葉に惹かれて、「役に立てるなら」と引き受けました。大学時代に高齢者・子ども福祉を少し学んだこともあって興味があり、ご縁があったのだと思います。
 担当する地域は3世代で暮らす家が多いため家族間での見守りやケアができ、頻繁に活動を求められるわけではないことが、民生委員児童委員を長く続けられた理由です。地域の皆さんに感謝しています。
困りごとで多いのは、家族に先立たれて1人暮らしになってしまったり、病気がちになった方に関するもので、必要であればご本人とお話をしたり、周辺住民の方に夜家の明かりが点っていているかなどに目を配ってもらうこともあります。
 他にはDIG訓練(災害図上訓練)を実施して、住民のみなさんに改めて避難経路や災害への備えについて話し合う場を設けています。
地域で住民同士が顔の見える関係でいてもらえると、私たち民生委員児童委員としても安心できます。住民同士の関係構築をより進めようと2015年に始めたのが校区サロン「カフェふくろう」です。

縁側のおしゃべりをイメージした校区サロンカフェ

 地域住民の居場所作りは全国各地区で行われている取り組みです。私が担当する本戸、中郷を含む校区にいる6人の民生委員児童委員が協力し合って、1つの校区単位でサロンを開けば私が1人で本戸、中郷でサロンを開くより来場者が多く見込めます。
 校区サロン「カフェふくろう」はコミュニティセンターで原則第3木曜日の9時~11時、参加費100円でご来場いただいており、80回以上実施してきました。「家の縁側に座って、のんびりと話をする...」ような居場所になれたらいいなと思っています。
毎回、自家製にこだわった軽食を出していて、ぜんざいやこの地域ならではの馬肉を入れた混ぜご飯、のっぺい汁を提供しました。地域のものを食べてもらおうと、地域で収穫した大根、人参、里芋を入れました。 
以前、軽食に凝りすぎて前日から準備した時期もありましたが、自分たちが簡単に調理できるものに統一。サロンで習い事や講演会を開いてみようか?といった意見が出たこともあったものの、大切なのはみんなのおしゃべりの場であることなので、気兼ねなく、フラッと来てもらえる場所であり続けたいと思っています。

「元気にしている?」の声が飛び交う地域の場

「元気でいる?」「久しぶりにお顔を見たね!」といった会話が交わされていることがやりがいとなっています。福祉委員やそのOB、民生委員児童委員、みんなで作ってきたもので関わった方に感謝の気持ちでいっぱいです。
カフェには地域包括センターも参加してくれています。血圧測定器を持参していただき、希望者に血圧測定を行うなど、地域包括センターとしても、住民の方の健康を把握できて双方にメリットが生まれています。
子どもを連れた子育て世代のママも来てくれるカフェを開き、地域住民の皆さんのことを知る良い機会になっています。子どもが長期休みの時は子ども連れで来てくれるため、校区サロンがにぎやかになります。「引っ越してきたばかり」といった新しい町民の方が来てくれて、お互いがはじめましての挨拶を交わしたこともあります。
今は次世代の民生委員児童委員の方に、上手くバトンを渡したいな...と考えていますが、カフェまで引き継いでいただくと負担が大きいため、カフェは今の民生委員児童委員のみんなで継続しながら、新しい地域の橋渡し役の方を探していこうと思っています。