女性の就業支援と雇用創出に力を入れている株式会社サン・テンポラリーで働く尾方美沙さんは、事務職としての業務をこなすかたわら社内の業務改善に取り組み、部署をまたいだ情報共有やペーパーワークのデジタル化、業務手順の簡素化などを実現。現在進行形でDXを推進しています。
スタートは営業職から
短大卒業後、建築資材の販売会社に営業職で就職しました。訪問先を設計事務所に特化した、会社で初めての取り組みを担当。自社の商材を設計士さんに紹介するのですが、膨大な数の取り扱い資材を覚えるだけでなく、どこに使うのが適しているかなど機能についても知っていないと効果的な提案ができません。一生懸命覚えて何度も足を運び、半年ほど経った頃、やっと1件の成約をいただきました。他の営業さんは月に何件も契約を取ってくるのに、私は半年もかかりました。ただ、1つの結果が出たという事は素直に嬉しかったですね。完成した建物に提案した資材が実際に使われているのを見た時は感動しました。
私は、何かと何かを結びつけるような仕事がしたいと思い、会社と顧客を結びつける営業職を選びました。実家が建築の仕事をしていたので馴染みのある業界でしたし、人と話すことが好きなので楽しく仕事させてもらっていましたが、結婚・出産を機に退職しました。
スキルを高めて指導者に
退職後は3人の子どもを育てながら実家の仕事を手伝っていました。当時はまだ全ての書類が手書きで、その処理に多くの時間を取られていたため、いつも簡素化・効率化を考えて仕事をしていました。やがて実家の手伝いも週1日程度で間に合うようになり、子どもが保育園に入ったタイミングで家から近い糸卸売業の会社に事務職として再就職しました。ところが一番下の子が病気で入退院を繰り返すようになり、やがて仕事にも支障が出るようになってしまい、やむなく1年ほどで退職しました。
子どもの病気が落ち着くまでは派遣で短期の仕事を探そうと思い、まずは今まで独学だったPCのスキルアップと、経理業務の職業訓練を受けました。訓練終了後には日商簿記3級を取得し、身に着けたスキルを活かしたいと人材派遣会社にも登録。ほどなくして閉店した百貨店従業員の再就職を支援する会社の、岐阜支店立ち上げメンバーに採用していただき、PCインストラクターと経理、受付を担当しました。パソコンに触れる機会が無かった職種の人も、再就職先が決まる頃には一通りの操作が出来るまでに指導しました。操作を覚えて年賀状を作ってみたと報告をもらったり、初めは笑顔が無かった人が打ち解けて話しかけてくれたり、皆さんに可愛がられて楽しく働く事が出来ました。
1人DX推進課
段々と皆さんの再就職が決まっていき、1年半程でその仕事は終了しました。次の仕事を探していたところ家の近くで事務職の求人が出ていたので応募したのが今の会社でした。面談で「女性の社会進出を目指して雇用を創出したい」と社長が話されるのを聞いて是非ここで働きたいと思いましたが、1週間が過ぎても合否の連絡が無く諦めかけていた時に採用の電話をいただきました。
働き始めてみると書類の保管場所や保管方法、電子書類のExcelとWordの混在など、改善すべき点が次々と見つかりました。そこで上司に改善の必要性を訴え、通常業務のかたわら書類のデータベース化、ファイル形式の一元化、管理方法の見直し等に取り掛かりました。会社の業務と並行する事で何がどこと紐づいているか理解を進めながら取り組む事が出来たのも良かったです。バラバラだった書類の保管場所・保管方法も統一ルールで一元化し、各自がPCに保存していたデータもサーバーで共有化する等の改善で、誰もが必要な情報を、必要な時に、誰かに頼ることなく取り出せるようになりました。特にコロナ禍で出社や訪問、面会が制限されテレワークを余儀なくされた時には、皆に活用していただく事が出来ました。営業と違い事務の仕事は成果が外から分かりにくいのですが、自分の中で解決できた課題を一つひとつ確認して達成感を感じています。
改善にゴール無し
3人の子どもは既に成人して孫も2人います。休日は夫の運転で道の駅巡りをしたり、飲食店を経営している子どもの店に行って食事をしたり、孫の面倒を見たりしています。仕事の持ち帰りはしたくないタイプなので、オーバーワークの時は休暇を取って1人で映画に行ったり、家で何もしないで好きなドラマを見たりしています。
働く時と休む時をしっかりと分け、自分自身のスキルアップ、リスキリングを継続して、もっと会社に還元していきたいと思っています。




























