岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

道に生えている雑草も、
私にとっては宝の山です。
野草の魅力を多くの人に伝えたいと思い、
日々活動に取り組んでいます。


野草ライフコーディネーター
松尾 愛子(まつお あいこ)さん(中津川市)

【2025年10月 7日更新】

自然豊かな中津川市で野草の魅力を発信する、野草ライフコーディネーターの松尾愛子さん。講座やワークショップを通して、暮らしを彩る野草の活用方法をレクチャーしています。自ら育てた蚕の繭から誕生したオリジナルキャラクター「まゆだまマーユ」の展示会や絵本の販売を通して、自然を身近に感じてほしいと願っています。

自然を求めて中津川市へ
 15年ほど前に愛知県尾張旭市から岐阜県中津川市に移住しました。もともと自然が好きで育児は田舎でしたいと考えていたのですが、旅行でたまたま訪れた中津川市の豊かな自然に魅了され、移住を決意。ちょうど長男が小学校に入学するタイミングだったこともあって、家族もすぐ賛成してくれました。今では移住者としての経験を活かし、市の移住サポーターも行っています。
 中津川市での暮らしは、感動の連続です。夕日や星空など毎日何かしらの美しい景色を見られるのが本当に幸せで、15年住んでいてもまったく飽きません。特に冬は地面の草花についた霜がキラキラしてとてもきれいです。すごくありがたい環境で暮らせていると日々感じています。
 人とのつながりを感じられるのもこの地域の魅力です。小学校は児童数がそこまで多くないため、子どもだけでなく親の顔もわかります。みんなが顔見知りというすごくアットホームな環境なので、地域全体で子育てをしている感覚が強いです。他人の子どもも自分の子どものように見守ってくれるので、安心につながっています。地域の見守りではないですが、市の木育スタッフとして子どもたちに自然と遊ぶ楽しさを伝える活動もしています。

野草の魅力を再発見
 もともと自然は好きでしたが、野草の魅力に気づいたのは中津川市に移住してからです。引っ越す前に住んでいた尾張旭市は名古屋市のように都会ではないけれど、道端に生えている野草を摘んですぐ食べられるという環境ではありませんでした。とても自然が豊かな中津川市は、私にとっては宝の山です。
 移住した15年前は携帯電話などで今ほど手軽に情報を調べられなかったので、散歩をしながら野草を摘み、実際に食べるなどしてそれぞれの特徴をつかんでいきました。子どもが耳が痛い・鼻が詰まったと言ったときは、効果がありそうな野草を耳や鼻に入れて試したこともあります。
 野草ライフコーディネーターとして活動するようになったきっかけは、自分で実践して気づいた野草の良さを広められたらと思ったからです。はじめは自分だけで楽しんでいたのですが、次第にシェアしてほしいという声を多くもらうようになり、講座を開催しはじめました。

野草と遊ぶ時間を提供
 自宅や公民館・カフェなどで、定期的に野草講座を開催しています。生徒さんと一緒に自然の中を歩きながら道に生えている野草の説明をするほか、具体的な活用方法を教えたり料理を作ったりして、野草と遊ぶ時間を楽しんでもらっています。
 活動をしていてやりがいに感じるのは、講座に参加した生徒さんの野草への意識がガラッと変わる瞬間を見られることです。この地域では農業をしている人が多いため、野草はあまり良い存在ではありません。しかし講座に参加して、今まで当たり前に草刈りをしていた野草が実は食べたり使ったりできるのだと、新しい発見をしている姿を見たときはとてもうれしかったです。道端に生えている野草を踏まないようにつま先立ちになって歩く生徒さんもいました。

日常に自然の癒しを
 「まゆだまマーユ」は、蚕の繭で作られたキャラクターです。忙しいときにふと足元に生えている植物を見ると、その健気さに元気をもらえます。日常にそういう瞬間が少しでもあると良いなと思い、自分で育てた蚕の繭から「まゆだまマーユ」を作りました。インスタグラムでは、中津川市の自然と「まゆだまマーユ」を撮影した写真を投稿しています。5年ほど前にはインスタグラムを見た韓国の出版社から声をかけていただき、韓国で絵本の出版もしました。
 「まゆだまマーユ」のもとになる蚕は、知り合いから蚕の卵をもらったのがきっかけで育てるようになりました。食事のお世話が大変なのでたくさんは育てられませんが、今後は繭を使ったキャラクターをいろいろ作りたいと考えています。