岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

お客さんからの生の声が励みに
採れたて野菜のおいしさを
たくさんの人に知ってもらいたい


各務原さくらい農園
櫻井 千佳子(さくらい ちかこ)さん(各務原市)

【2025年10月 8日更新】

ご家族とともに各務原さくらい農園を営む、櫻井千佳子さん。トマトや人参などさまざまな野菜を愛情込めて育てています。採れたてのおいしい野菜をお客さんに直接届けたいと直売所も運営。岐阜県女性農業経営アドバイザーとして長年活動するほか、地域の子どもたちに職業体験の場も提供しています。

結婚を機に農園へ
 結婚をきっかけに、夫が経営する各務原さくらい農園で働きはじめました。独身のときは農業と直接的な関わりはなく、農園での仕事ははじめてのことばかり。しかし私の実家は兼業農家だったため、仕事に抵抗感はなかったです。
 夫に言われたわけではありませんが、子どもが生まれてからもできる範囲で仕事を手伝っていました。自分のタイミングで手伝いに入れたため、仕事が良い息抜きになり、育児との両立ができたかなと。現在は子どもたちも手伝ってくれていて、家族で農園を経営しています。
 農園では、トマトや人参などさまざまな野菜を育てています。野菜の栽培において大変だと感じるのは、環境の管理です。ビニールハウスで育てていても、外の気温や日差しの強さによってハウス内の環境は変わります。夏の暑さが冬になって影響することもあるため、その都度対応しなければなりません。野菜にとってよい環境を整えられるよう、日々試行錯誤しています。

新鮮野菜が並ぶ直売所
 市場に卸すだけでなく、農園の隣で直売所も運営しています。直売所ではお客さんから直接、野菜の感想をいただけるため、仕事のやりがいにつながっています。お客さんから「スーパーで売ってる野菜と味が違う」という声をもらえると、採れたて野菜のおいしさが伝わったと実感できてとてもうれしいです。
 農園の存在を身近に感じてもらうため、Instagramでの発信もはじめました。栽培の様子や野菜の販売情報なども載せているので、たくさんの人に見てもらいたいです。

女性農家同士で交流
 岐阜県女性農業経営アドバイザーとは、農業の経営改善や地域貢献などに意欲的に取り組んでいる女性農家として県から認定された人のことです。私は各務原市役所の職員の方に声をかけていただき、平成20年頃から岐阜県女性農業経営アドバイザーとして活動しています。
はじめは私にできるのか不安で、アドバイザーになるかすごく悩みました。その当時、長男が高校受験のタイミングだったのですが、進学先として農業高校を希望していると知り、子どもが農業を学ぼうとがんばっているのなら私も勉強しようと。子どもの姿に背中を押され、アドバイザーを引き受けることにしました。
アドバイザーの活動は女性農家同士で定期的に集まり、講師の方を招いて勉強会をしたり情報交換をしたりしています。みんなで学びたいことを決めるのですが、取り扱うテーマは農業に限定していません。2024年8月頃には、講師の先生から自分の思ったことを自由に書く「己書」を教えていただきました。
 私が所属する岐阜ブロックは出席率が高く、毎回20名ほどが参加します。みんなで集まったときに話題に挙がるのは、農業や経営といった仕事のことからプライベートのことまでさまざま。気さくな方ばかりでとても話しやすいです。普段、同じ女性農家の方とお話をする機会はあまりないので、アドバイザーの集まりは私にとって刺激をもらえる良い時間だなと感じています。

農業を知るきっかけに
 私の住む地域の小学校では3年生になると、必ず農業のことを授業で学びます。今の時代、農業に関わりのある子どもは少ないため、地元でも野菜を栽培していることを知ってほしいという思いから、小学校の職業体験を受け入れはじめました。
 新鮮な野菜のおいしさを子どもたちに知ってほしいので、人参の収穫体験をしてもらい、「どんな食べ方でもいいから今日中に食べてね」と伝えています。児童からは体験の感想をお手紙でいただくのですが、「食べなきゃ損」って書いてあったときはとってもうれしかったです。これからも家族で意見を出し合って、おいしい野菜をたくさんの人に食べてもらえるようがんばります。