瀧根智恵子さんは、平成18年春に名古屋市から高山市へ転入し、おはなしネット・ことだま に加入。乳幼児から母親、一般の方を対象にして「おはなし会」、「講演会」、「読み聞かせ学習会」を開催。高山市内30カ所以上で読み聞かせ活動を行っています。昔ばなしから科学まで、多岐にわたる内容の絵本を取り扱う子育て支援活動など、積極的かつ活発に行っています。
見えない力に呼ばれて
学校を卒業後は名古屋市役所で勤務。結婚、子育てを経て、本とはまったく関係ない職場でパートで働いていました。もともと若いころから本が大好きでしたが、ふと、「そうだ、本が好きなら、何か本に関わる仕事がしたい」と、50歳の時に思い立ち、図書館司書を目指すことにしました。当時働いていた職場をお休みして、愛知学院大学の司書養成コースへ通い、朝から夕方まで若い人に混じってめちゃくちゃ勉強しました。
その甲斐あって司書の資格を取得。ところが、アウトソーシングが移行する時期と重なり、せっかく資格をとっても名古屋市内で働ける場はなかなかなかったのです。同じころ、夫が早期退職し故郷の高山へ帰ると言い出し、平成18年4月に名古屋から高山へ。転居してすぐ、お隣の方に誘われ、3月に設立したばかりのおはなしネット・ことだまに加入、活動をスタートしました。偶然ですが同じ時期に高山市の学校図書館司書の募集があり、申し込んでみたらなんと採用に。中学校で7年、小学校で3年、お仕事をさせていただき定年を迎えました。高山に移り住んで司書として働きながら、読み聞かせの活動に出会え、本に導かれて今があるという気持ちです。名古屋を引き払うとき本も寄贈などでずいぶん処分しましたが、活字が大好きなので自分のものにしたくてまた本を買ってしまいます。私の贅沢のひとつです。
魂込めて本と向き合う
「ことだま」には「たましいをこめて言葉を伝えたい」という意味がこめられています。いま、会員は33名。そのうち男性は5名ほどです。30代から80代まで、平日を中心に土日もイベントに呼ばれれば出かけていきます。高山はとても広いので会員も地域全体に散らばっており、小学校や保育園、まちづくり協議会のイベントなど、依頼を受け年間予定を立て、行けるメンバーを割り振ります。私は少なくても週2回、多ければ週5回高山を飛び回っています。依頼があれば飛騨や下呂まで足をのばすことも。
飛騨の民話の語り、パネルシアターという大きなパネルに絵を貼り音楽に合わせての読み聞かせ、ブラックシアターという真っ暗なところでの読み聞かせなど、依頼内容や対象年齢によって、イベント内容をどうするかメンバーみんなで考え、自分たちで下準備の絵をかいたりBGMを選んだりします。そのほか、設立時から毎年、作家や出版関係者など、さまざまなゲストを招いて講演会も主催しています。
読み聞かせに伺った先で、喜んでくれるお子さんとの出会いももちろんですが、お母さんたちがほっこりとした良い笑顔をなさって、その顔を見るだけでうれしく感じます。赤ちゃんの頃から読み聞かせをしていた子が大きくなって会いにきてくれて、「その本、僕、大好きだったから僕が読みたい」と、昔読んでいた本を自分より小さな子に読んでくれた時は、続けてきてよかったねと仲間と喜びあいました。一期一会と思って活動していますが、子どもたちにとって本との出会い、つながりとなったことを知ることができて本当にうれしかったです。
新型コロナウイルス感染症が一段落し、読み聞かせの依頼もどんどん増えている中、設立当時のメンバーがだんだん高齢になり、若いメンバーは仕事や子育てでなかなか動きにくい状況です。なんとか若手の育成をして次世代のスタッフを増やしたいとは思っています。経験できないことを経験し、ページをめくればドキドキ感に出会える本。私たちは、ただ本が好きだから読むのではなく、生の言葉で伝えられる声や語りになるよう、定期的に勉強会もおこなっています。演劇をやっていらっしゃる方やアナウンサーなどを招き、発声や表現を教わる機会もあり、私たちのスキルアップも目的のひとつとなっています。
夫とともに飛騨人に
山岳ガイドと山荘の支配人をしている夫と、いまは2人暮らし。娘は結婚し、息子は銅版画がやりたいとスロバキアにいます。いい意味で家族みんな自由です。息子に読み聞かせていた絵本の挿絵作家さんが偶然スロバキアに在住しており、それがご縁で講演会にお呼びすることもありました。
趣味は、邦楽の演奏。「飛騨邦楽愛好会」の会員で、琴と三味線を演奏会などで披露しています。あとは、最近控えめになりましたが山登りです。若いころは山岳会に所属するほどでしたが、現在は夫と年に一度、私の希望する山を3日ほどかけて縦走するペースで登っていて、息抜きになっています。
夫とは、お互いそれぞれが元気でいることがうれしいという距離感で、「高山出身の自分よりも飛騨人」と呼ばれるほど、私も岐阜での生活が身についています。
今を大切にする一年
毎年、年の初めに「今年の漢字」を考えます。2024年は「笑」でしたが、2025年は「今」という漢字にしました。「今」を大事に、「今」を意識した1年にしよう、としたためた紙を手帳に挟んでいます。
2025年にことだまは結成20周年を迎えます。周年記念に記念誌の発行や記念講演などのイベントを開催したいというのが近い将来の目標です。この先の大きな夢としては、若いメンバーを増やし、グループとしてこれからも末永く続いていくこと。5年後を目指して後継者を育成していけるよう、「今」に力を入れていけたらと考えています。





























