瑞穂市出身の大平由香理さんは、大学在学時から画家としての活動に取り組み、2013年「アートアワードトーキョー丸の内 2013 」にて佐藤直樹賞の受賞を皮切りに、別府現代芸術フェスティバル 2015「混浴温泉世界」にて末広温泉浴場の壁画制作や、上野の森美術館でのVOCA展への選出、第 8 回東山魁夷記念 日経日本画大賞展への選出など、画家として活躍されています。2023年、熊本県葦北郡にあるつなぎ美術館にて開催された「大平由香理 個展 波をつなぐ」では、「滞在制作」という土地に滞在して作品を制作するスタイルで作品を完成させるなど、様々な場所で制作活動を展開しています。
絵を描くことは生き方
絵を描く道を志すきっかけとなったのは、岐阜市の岐阜県立加納高校美術科で日本画と出合ったことです。美術大学進学後から積極的に様々な展覧会に応募、作品を出展して実績を重ねてきました。
私にとって絵を描くことは仕事というよりも自分の生き方そのものであり、自分そのものだと言えます。絵が生活そのもの、生活と表現が一体化しているという感覚があります。休みの日というのもあってないようなもので、時間ができた時には美術館の展示を観に行って過ごすなど、常に芸術と共にある生活で、それが次の作品制作への意欲へと繋がっています。
作品を通して人と繋がる
私の制作スタイルには、土地に滞在しながら作品を制作する「滞在制作」というものがあります。大学院修了後からこれまで様々な土地に呼ばれ、滞在をしながら各地で作品制作をしてきました。
2022年には、岐阜県美術館での「アーティスト・イン・ミュージアム(AiM)」に招聘されました。これは、完成した作品を美術館で鑑賞するだけではわからない、アートが生まれる瞬間を体験できる他、時には参加することができるという岐阜県美術館の試みです。ここで私は来館者のみなさんと共に岐阜を題材とした作品を制作しました。この作品制作では、多くの人に携わってもらうことで、「私」だけでなく「私たち」の絵を描きたい。私と美術との最初の出会いであった岐阜県美術館で制作を行いながら岐阜で出会った風景を描き、自らのルーツを掘り下げることで人間そのものの根源に迫りたいとの思いがありました。
2023年には、岐阜県瑞穂市20周年事業の一環で作品制作をしました。瑞穂市は私の出身地ということもあり、私の母校である牛牧小学校の全校生徒約740名と一緒に大きな絵を制作しました。約1か月間、小学校の図工室をアトリエとしてお借りし、毎日通いながら全クラスへ授業をしました。休み時間や昼休みも一緒に活動をしながら、瑞穂市の名産である富有柿をテーマにした作品を作りました。子どもたちと協働で作り上げたこの作品は、瑞穂市の「ココロかさなるCCNセンター」に常設作品として展示されています。
「不撓不屈」の心
美大を卒業して作品制作を仕事にすることを志しても、途中で諦めてしまう人が多いのが現状なのですが、私は「不撓不屈」の精神を大切にしています。「不撓不屈」とは、どんな苦労や困難にも負けずに、決して諦めないこと。諦めてしまったら先へは進みません。ですので、もしこれから芸術の道を目指そうという人がいるなら、芸術を仕事にするということは難しいかも知れないけれど、諦めずに挑戦し、継続し続けることこそが大切だと伝えたいです。
地元の魅力を再発見したい
岐阜県で生まれ育ち、絵を学び始めてこれまで様々な土地で絵を描いてきました。北から南へどこに行っても原風景として思い出すのは故郷の風景です。時に力強く流れる川の流れ、遠くに見える山脈、自分の中に脈々と流れ、受け継がれてきた風景があります。私は高校卒業後、各地での滞在制作や作品発表のためほとんど岐阜に帰ってくることはありませんでしたが、3年前に岐阜県美術館で展覧会をした時、改めて岐阜の風景と向き合ってみようと思いました。鵜飼船も乗ったことがなかったのですが初めて乗り、川の流れがいろいろなところにつながっているのを実感しました。それらはこれまで様々な場所を見てきて改めて気がついた風景です。今、改めてそうした岐阜の風景に目を向け、発信したいと思っています。





























