岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

エンタメの素晴らしさを伝えるべく、
子どもたちにエンタメ文化を
また、チャリティイベントを通じて、
日本の貧困家庭の状況への気づきを


株式会社サンタはじめます 代表取締役社長
井筒 真和(いづつ まお)さん(大垣市)

【2025年10月15日更新】

幼少期からの夢であったエンタメ業界の仕事を続ける井筒真和さん。妊娠をきっかけに一度は離れたものの、産後の沈んだ気持ちを支えてくれたエンタメに恩返しをすべく、イベント企画や運営などを行う会社を起業。様々なイベントや映画祭を開催するほか、チャリティライブを通じて子ども食堂の活動にも尽力しています。

マネージャーの道へ
 小さい頃からテレビが好きで、テレビ関係の仕事をしたいとずっと思っていました。夢を叶えるために、高校卒業後は名古屋の専門学校に入学し、映像の勉強をしていました。テレビ局でアルバイトもしていました。ところが、卒業後にテレビ業界へ進むことができず、卒業した専門学校に声をかけていただき、職員として働いていました。当時はそれがすごくコンプレックスでしたね。常に、今後自分がどうなりたいのか模索しながら働いていました。
そんなモヤモヤした気持ちで過ごしていたある日、エイベックスのアーティストの撮影案件が専門学校に来たんです。授業の一環として学生たちと見学に行ったのですが、すごく輝いていて感動しました。その日の夜に、マネージャーになる夢を見たことで、その道もありかもしれないなと思ってしまって。それがまさか正夢になるとは、驚きでしたね。

ママになる夢を優先
 エイベックスに入社し、アーティストのマネジメントのお仕事を経験し、自分の中ではアップデートした状態で専門学校で再び働いていましたが、次は「ママになる!」というもう一つの夢を叶えるために結婚をしました。26歳までは好きなことをしようと決めていたので、自分の人生設計としては順調に進んでいましたね。
 結婚後妊娠し、無事に出産しました。ところが、何もかもが初めてで赤ちゃんを育てないといけないプレッシャーと、社会から取り残されてしまったような孤独を感じて、とても心が沈んでしまいました。すさんでしまったというか...。そんな気持ちの中、深夜の授乳中にSNSを見ていたら、とあるアーティストのバラエティ番組が流れていて、何気なく見ていたんですがすごく面白くて久しぶりに笑ったんですよ。そこで、やっぱりエンタメって大事なんだ!ということに気づき、エンタメの世界に戻りたいと強く思ったんです。

イベント運営のため起業
 主人を通じて「子ども食堂」に取り組んでいる人と知り合い、日本の貧困家庭の現状を知ってとても驚きました。まさか日本でたくさんの子どもたちが食べることに困っているとは思いませんでした。私が知らないだけで日本って実は貧しいの?もしかしたら友だちにも困っている人がいるの?私に何かできることはない?そんなことを考えていた時、音楽とチャリティを組み合わせたイベントを思いついたんです。つながりがあったアーティストやパフォーマーに声をかけて、2023年8月に春日井市で開催しました。イベントの利益は子ども食堂に、楽曲の売り上げの一部は愛知県子どもが輝く未来基金に全額募金しました。
 次の年に、大垣市で開催することになったのですが、協賛がなかなか集まらず苦労しました。やはり、個人では大手へのアプローチが難しいんです。そこで、思い切って起業することにしたんです。それからは協賛を集めることができ、大垣市でも無事に開催することができました。

子どもたちに興味を
 大きなイベントを開催するには、とても大変ですしリスクが伴います。でも、やっぱり楽しいんですよ。子どもたちにそのことに気づいてほしくて、エンタメスクールを開校する計画を進めています。多彩な講師を呼んで、音楽や映像に関する内容を学ぶことができるスクールです。この業界においでよ!という押し付けがましいものではなく、将来の間口を広げてあげられるような場所にしたいと思っています。
 今後も、チャリティイベントや映画祭などのイベントが控えていて大変なことがたくさんありそうですが、エンタメに恩返しがしたいのでがんばります。専門学校の校長先生が「教育は焼け石に水をかけ続けること!」とよく言っていたんですが、最近その意味がようやくわかった気がします。当時は何言ってんだか、と思っていましたが、やり続けなくてはいけない、ということだと思うんです。だから私も"焼け石に水"の精神で、この仕事を続けていきたいです。