岐阜で活躍する女性の紹介
〜岐阜で活躍する女性からあなたへのメッセージ〜

海外に卵かけご飯ブームを起こしたい!
希少性が高く栄養豊富な
烏骨鶏の魅力を発信
女性起業家のパイオニア


肩書 株式会社烏骨鶏本舗 代表取締役
石原 千照 (いしはら ちあき)さん(大垣市)

【2025年10月16日更新】

石原千照さんは、38歳まで専業主婦として育児と主婦業に専念してきましたが、2人の息子の教育資金のためにとパートとして入社した株式会社キャナリィ21で烏骨鶏と出会います。販路がなく廃棄されていく烏骨鶏の卵を何とか活かそうと、地元の菓子店に烏骨鶏のカステラ、バウムクーヘンを作ってもらい、パッケージのデザインも自ら手掛け、サービスエリアに販路を開き、食品ロスの解消を実現します。2007年に株式会社烏骨鶏本舗を設立、国の天然記念物であり希少性も高く栄養価に優れた烏骨鶏の素晴らしさを広めるため、ブランディングに注力、また、食品以外にも、烏骨鶏の豊富な栄養をふんだんに取り入れた美容商品の開発にも取り組み、海外進出を目指しています。

烏骨鶏との出会い
 私が烏骨鶏を知ったのは、2人の息子の教育資金の足しになればと、パートとして勤め始めた株式会社キャナリィ21での仕事からでした。当時、健康食品や化粧品メーカーとしてサプリメントの原料に烏骨鶏を使っていたのですが、卵の仕入れ先が倒産したことから、株式会社キャナリィ21で養鶏場を格安で買い受けて営業を続けていくことになったのですが、毎日産まれてくる卵の量を捌ききれず、余らせて廃棄するということが日常化していました。今で言う「食品ロス」であり、主婦としてそういう状態は見ていられず、何とかして卵を活かせないかと考え、地元の菓子店に「卵を一番たくさん使うスイーツを作ってください」とお願いし、カステラが出来上がりました。社にいながら私自身でパッケージもデザインし、友人のつてでサービスエリアに営業に行き、販路を得て、卵が廃棄されずにカステラやバウムクーヘンに変わり、循環していく状態を作ることができました。

数々の烏骨鶏商品を販売
 2007年に株式会社キャナリィ21を退職後、株式会社烏骨鶏本舗を設立。「烏骨鶏トータルフーヅカンパニー」と銘打ち、大垣市内で営んでいる養鶏場や協力会社から届く卵や原料を、様々なお惣菜屋さんに卸すほか、カステラやバウムクーヘン、ロールケーキ、プリンなどのスイーツを百貨店、サービスエリア、道の駅、ギフトを扱う会社などで販売しております。私たちの商品は少しグレードの高いお菓子なので、株主優待や周年行事、記念品などに使っていただくことが多いのですが、変わったところではゴルフ場などにも卸しています。また、2年前に烏骨鶏の卵からわずかしか抽出されない、貴重な卵黄油という原料を使ったシャンプーの販売も始めました。シャンプー1本でトリートメント、コンディショナーも兼ねるほか、洗顔料、ボディソープとして使うことができるオールインワン商品で、成分が体に循環するのかとてもしっとりします。実際、リピート率が高い商品です。また、他社の商品とコラボした「卵かけご飯セット」も人気商品です。

海外に卵かけご飯を!
 生の卵で卵かけご飯を食べるという文化は、日本だけなのです。海外では、販売されている卵の衛生管理がきちんとされているところが少ないので、生では怖くて食べられないのです。生で食せる日本の卵は素晴らしいということがだんだん認知されてきて、中国やシンガポール、台湾、香港など、アジア圏で日本の卵が美味しいということが広まっています。そこで、烏骨鶏の卵かけご飯を海外で広めようと思っています。もちろん食品ですので基準が厳しく、生の卵を海外に受け入れてもらうということはかなりハードルの高いことだと思うのですが、何とか基準をクリアして美味しい烏骨鶏の卵を海外に広めたいです。いろんな調理法があっても、やはり卵は生で食べるのが一番美味しいし、生の方が栄養も吸収されやすいのです。
 卵は命そのもの。1個の卵からヒヨコが生まれるわけで、安全な栄養と言えますよね。なかなかそういう食品ってないと思うのです。それを扱える立場にいて、私は本当に幸せだと思っています。烏骨鶏の卵は、通常の卵より栄養価は約8倍、コレステロールは半分ほどで、完全栄養でありながらも健康的で、女性のホルモンにとても良い作用をもたらしてくれるので、ぜひ女性にお勧めしたいです。

私を支える2つの思い
 この仕事の大変な部分は、需要に対して卵を集めることですね。私たちの烏骨鶏は無理矢理産ませるようなことはせず、自然の環境の中で育て自然に産まれるのを待つ形なので、猛暑などが続くなど環境的に変化があると産んでくれなくなるので、そこが難しいところです。
 私には2つの座右の銘があります。1つ目は「お金がないのが武器だ」。お金がないからこそ一から自分でやろうと思えるのではないでしょうか。私は創業してデザインもホームページも他社に投げずにやりましたし、再構築補助金の申請も、弊社はコンサルティング会社等を頼まず、自社で全て行いました。お金を払って人にやってもらったら自分の身になっていかない、自分でやるからこそ自分のものになっていくとも思うのです。
 2つ目は、「誰かのためにしか真の力は発揮できない」。私は息子たちがいたから、子どもたちのために少しでも稼ぎたいという思いで働き、創業もしましたし、本当に私のエンジンは子どもたちでした。これまで若い頃からずっと努力したことがなく、何かに打ち込んだことが一つもなかったのですが、誰かのためにと体が動いたのは私自身初めての経験で、それが今の烏骨鶏本舗につながっています。大きな転機だったと思います。
 今後、海外へ卵かけご飯を広めることもそうですし、烏骨鶏の卵の成分である卵黄油を「UPC(烏骨鶏ピュアコリン)」という原料名をつけて、UPCを使った髪の悩みに特化した商品を出していきたいです。烏骨鶏の卵には薬のような副作用がないので、男性にも女性にも使ってもらえる美容商材を出していきたいと思っています。