一般社団法人AILAB(アイラボ)代表理事の河村愛実さんは、自身の経験から「悲しむ家族を増やさない社会」をビジョンに掲げ、働くお母さんをサポートする活動を続けています。
みんな必要としている
私は、出産で退職した後にフリーランスで仕事を始めたのですが、家事・育児・仕事が重なり段々と精神的に追い込まれていきました。そのとき、心の余裕を取り戻せるようなサポートが必要だと感じ、活動を始めました。子どもの支援はとても多いのですが、お母さんのサポートはまだまだ手薄だと思います。子育てしながら働いているお母さんと話をすると、やはりそういう場が求められていると伝わってきました。
本巣市は子育てに関するサポートは比較的充実していると思います。子どもを預かってくれてお母さん同士で交流する講座に参加した時はとても助かりました。しかし、行政が入ると相談しにくい話もあるのではないかと思い、自分で「本巣市のママが頼れる場所づくり」をしようと考え2022年に友人と活動をスタートしました。
自分だから伝えられる事
実は私自身、子どもの頃に継母から虐待を受けていました。当時はなぜ自分はこんな扱いを受けるのかと思っていましたが、あの頃の父はめったに帰宅せず、母はいくら働いても減らない父の借金と、母親になろうと頑張ってもなかなか懐かない私と、さらには反対を押し切って結婚した手前親にも頼れず、追いつめられた状態だったと思います。今は当時の母の環境を考えると仕方なかったのかなと思えます。
自身の経験もあってステップファミリーからの相談をよく頂きますし、経験した者として子どもの立場から伝えていけることもあると思っています。虐待のニュースを見ると「なんて母親だ!」となりがちですが、お母さんを気にかけてあげる人が居れば違ったんじゃないか、もちろん虐待は許されることではありませんが背景を理解することも大事なのではないかと思います。
今は7割が共働き世帯と言われていて、女性も仕事を持つのが当たり前になっていますが、子育てや家事の負担はまだ女性に偏っていると思います。段々と追いつめられ余裕がなくなると、逃げ場を探して良くない方向へ行ってしまう事もあるでしょう。大人だけで大人同士の話ができれば、それだけで随分と違うと思います。
ママたちの活躍を応援
子どもを預けられるママ特化型コワーキングスペースやママたちの交流会などで、働くお母さん方の横の繋がりを広げると同時に、新たにビジネスをスタートさせるお手伝いもさせて頂いています。ネイルやエステのサロン開業を目指す方には技術習得や資格取得に協力して頂ける提携サロンを紹介、フリーランスのWebデザイナーやグラフィックデザイナーを目指す方には私が講座を用意、また開業前後の広報や集客、コンサルティングも行っています。
現在は活動拠点を自宅に移して、みんなが集まれるイベントスペースを目指して庭を拡張、改修しています。完成すれば子どもたちが遊びまわれる人工芝スペースや、大人たちのBBQスペースが用意でき、いつでもイベントが開けるようになります。
自分たちの活動の他には、私自身も2023年に出場したビューティージャパン事務局にメンバーとして参加しています。このコンテストは応募者のこれまでの経験、これからの夢や目標などに焦点を当て、それを審査することにより社会貢献に努める女性を発掘するという全く新しい大会です。様々な女性が発信する事で誰かの背中を押す存在になったなら、それだけで社会に貢献していると私は思います。
いつか必ず!
女性を取り巻く環境の改善は、男性も含めた家族全体・社会全体の事として捉えないといけないフェーズに入っていると感じています。例えば育休制度一つとっても、育休中に何をすれば良いか分からない男性もいますし、企業も制度を整えるだけでなく男性社員に取得前レクチャーを行えば、制度の活用も全然違ってくると思います。今後は企業や男性に向けた活動も視野に入れていかなければと考えています。
好きな言葉は「登れない壁は無い」。無理だと思っていたゴールも、ちょっと視点を変えれば辿り着ける。色々なルートで挑戦を続ければ、いつか必ず結果を手にすることが出来ると信じています。


